生け花と華道の違いについてその業界の人間である華道家が解説します。
まずは結論
意味はほぼ同じです。
事実ではありますが…これではあまりに味気ない情報になってしまいますので微妙な違いを探っていきます。
根拠
辞書で調べてみました。
「生け花」で調べてみると
”草木の枝・葉・花を切り取り、花器に挿し、形を整えて鑑賞に供すること。また、挿したもの。立花 (りっか) ・生花 (しょうか) ・自由花など、種々な様式がある。華道。挿花 (そうか) 。”
続いて「華道」
”草花や木の枝を花器に挿して鑑賞する技法・作法。生け花。”
このように調べてみ見るとどちらにも相互に生け花と華道という言葉が入っていることが分かります。
生け花の項目の方が専門用語なども出てきて文字数は多いですが書いてあることの中身もほぼ同じです。
使われ方
続いてどのようなときに「生け花・華道」という言葉を使い分けているかというところで微妙な違いを探っていきます。
作品自体(生けた花自体)を指す場合
この場合は生け花作品や生け花ということが多いです。
華道作品というのはGoogle検索をしても生け花作品に自動変換されてほとんど出てきません(個人的にもあまり見たことがありません)。
書籍などで出版されている作品集も生け花作品集は使われているものの華道作品集はGoogle検索をしても生け花作品集と自動変換されます。
このことから次のような結論に至ります。
生け花はジャンルとその物を指すことが多く、華道はジャンル自体を指すことが多い。
語感の違い
「生け花・華道」の共通点ががジャンルとして使用する言葉だということがが分かったところでジャンルとしての語感の違いを探っていきます。
生け花=現代感+伝統感
華道=伝統感
生け花と華道という言葉には共通して伝統のイメージがあるかと思いますが、生け花には現代生け花というジャンルが存在します。
少しマニアックな話になってきましたが、現代生け花は簡単に説明すると芸術性や現代アートの要素が強いものや時代に合わせて古典の型が現代風に変化した生け花のことです。
こちらも現代華道でGoogle検索してみたところ例のごとく現代生け花に自動変換されました。
どちらの言葉がより古くから有るかは生け花の歴史研究家ではないので分かりませんが、現代では生け花よりも華道の方がより強い伝統感を感じる言葉になっていると思います。
まとめ
生け花 =ジャンルと作品自体を指すことが多く、伝統と現代性を合わせ持つ言葉
華道 =ジャンルを指すことが多く、伝統感の強い言葉
という結論になりました。
個人的には生け花と華道の違いについて以外にも多くの人が調べていることに驚きました。
同じような意味ですが、微妙な語感の違いがあるため「何が違うの?」と思うのも不思議ではありません。
誰かに説明する際は「ほぼ同じだよ」と回答しておけば間違いないです。