今回は流派を問わず生け花の教室に通っている初~中級者の方を対象にお稽古前の事前準備を少し工夫することでより上達しようというお話です。
2つの要点
〇準備物は少し余分に用意
・花材編・資材編
準備物編では余分に用意するメリットと用意する物の買い方のコツをご紹介します。
〇内容の予習法
・時短編・しっかり編
予習するのが効果的なことは分かりきっているけれど中々行動に移せない方も多いと思います。
そこで予習がどれほど強力なメリットがあるかを説明させていただくとともに時短編では寝る前の5分で出来るお手軽な予習方法をしっかり編では花を仕事にしたいと考えている方向けの予習方法をご紹介します。
準備物(花材編)
準備するものがある場合は少し余分に用意しておく。
花材を持参してお稽古をする場合は少し余分に買っておくと自分が生ける際の選択肢も広がりますし、先生が手直しされる際の選択肢も広がるのでより良い花材を選んで手直ししてくださいます。
もし折ってしまった場合でも少しの予備があれば安心して稽古することができますし替えがあるので折るギリギリのところまで草木をタメることができるようになりタメる感覚を早くに掴むことも可能になります。
買い方2つのパターン
- 同じ花材を本数多めに買う
- 全く別の花材を二種類程度余分に買う
同じ花材を本数多めに買う場合は一種類から二種類の草木を使用する生け方の際におすすめです。
同じ花材でも雰囲気の違う枝が多くあればそれだけ選択肢が増えます。
二種類程度余分に買う場合は二種類の内の一種類は自分がどうやって使ったら良いか分からないものをあえて購入して先生に使い方をご指導いただくのもお稽古に幅が出るのでおすすめです。
立花や大作の自由花などで多種類の花材が必要な場合は2つのパターンを複合するのもありです(予算に余裕があればですが)
準備物(資材編)
異質素材(自由花に使う生の草木以外の物)
異質素材を使った自由花などに使う比較的安価な資材は1~2種類余分に買っておくと先生が資材を組み合わせた新たな使用方法を見せてくださるかも知れません。
花留めの類
又木配り(V字の枝で出来た花留め)などは慣れないうちは色々な形のものを教室に持って行くとどういう形状のものが適しているか先生が教えてくださいます。
余分な又木配りがあることで今回生ける太さの枝にはどの形状の又木配りが適しているのか比較することができ次回から自分の中で選択する基準を作りやすくなります。
ワイヤー
ワイヤーなどは足りないことが無いように少しだけ余分にあれば良いです。
あまり購入しすぎると荷物が重たくなるので少し余裕がある程度にとどめておく方が良いでしょう。
余分に用意して使わなかったもの
花材、資材ともに余分に用意しても使わないことがあります。
この時無駄に購入したと後悔しないようにしてください。
理由は資材であれば持っておけばまた次回以降に使用できます。
花材はたとえそのお稽古で使用しなくともお稽古中のあなたが花を生ける際の選択肢としてお稽古の内容を充実したものにしてくれていたからです。
それでも後悔してしまうと言う方は残った花材を使ってお家で小さな作品を生けて楽しむと残った花材と後悔してしまうあたなの気持ちが少しは救われるかと思います。
内容の予習法
お稽古内容が事前に分かっている場合は予習する
当たり前では?と思われるかも知れませんが意外とやらないこの予習がいかに上達スピードに影響するかということを最初にお伝えしてから予習法の説明に入りたいと思います。
少しの予習がお稽古二回分に相当する
自由花・生花・立花のいずれにしても初めて生けるスタイルの場合は何も分からずお稽古を始めるよりも事前情報が少しでも頭に入っている状態のほうが生けるイメージがより明確になり先生に対する質問や疑問の質もより良いものになります。
予習している段階で生まれた疑問を生け始める前に先生にお聞きしてから生け始めるというのもおすすめです。
生けてから疑問にぶつかり迷い始めるのと事前にその疑問の答えを知ってから生けるのでは学びに大きな差が生まれます。
この差がお稽古二回分に相当します。
予習法(時短編)
しっかり時間が取れない方におすすめの方法が生けるスタイルにもよりますが、テキストの見開き1ページだけ読むことです。
上級者向けの生け花の奥義のような様式は別ですが、自由花や少し覚えれば生けられるようなスタイルも多いのでお稽古するスタイルの見開き1ページの理論とそこに載っている作品写真を見るだけでもかなり違います。
こちら個人的にはお稽古の前日の寝る前の時間にサクッと見るのがおすすめです。
寝る前であれば翌日のお稽古に対するモチベーションも上がりますし記憶の新鮮さも維持することができます。
見開き1ページのつもりが面白くて熟読してしまう可能性もあるので、寝る直前では無く少し余裕をもって見ることをおすすめします。
予習法(しっかり編)
こちらは時間が取れる方向けです。
テキストはお稽古する項目をしっかり読み込みます。
もっとしっかり予習したい方は一度お稽古する花を事前に生けてみましょう。
初めて生けるスタイルでも構いませんのでテキストを活用しながら生けてみてください。
(生花や立花などの様式自体を一度も生けたことが無い場合はテキストの熟読のみで大丈夫です)
最近のテキストは良いものが多いので一人でも生けながら得られるものも多く、自分一人で考えながら生けることで生け花の構成自体に対して創意工夫する能力が強化されます。
生け終わったら写真を撮って教室で先生に見ていただきましょう。
写真を見ていただいた際に疑問や自分として改善したい部分があれば先生にお話ししてご指導をいただいてからその改善点を生かしてお稽古を始めることでより深いお稽古二回分以上の学びとなります。
(※写真を見ていただいて疑問をお伝えするのがお嫌いな先生も極まれにいらっしゃいますので先生の人柄を拝見してから実行されることをお勧めします。
聞き方としては「この前自主練習で今回のテーマを生けてみたのですが先生見ていただけますか?」とお伝えすれば大抵の先生は生徒の熱心さを好意的に受け取ってくれます。)
まとめ
事前準備が上達スピードを加速させる
ちょっとしたことを少しだけ工夫してお稽古の質を向上しようというお話でした。
将来は生け花で仕事をしたいという方はしっかり編の予習方法を試してみてください。
趣味や息抜きで花を生けている方は時短編の予習方法をするようになればとても上達すると思います。
準備物も余分があるに越したことは無いですが、お財布とご相談のうえ無理のない範囲でよろしくお願いします。