以外と気になっている方が多いようなので、今回は表題の件を華道家の私が要約解説させていただきます。
まずは結論
挿花は生け花の古語的表現だが、現在でも稀に使われる。
挿花は生け花の古語的表現なので、まずは生け花の定義を簡単に、ご説明します。
生け花とは
生け花とは日本の伝統的な花の文化で、花を使って表現すること、表現方法は自由な表現と伝統的な型のある表現があります。
より詳しくはこちらの「生け花とは」の記事にまとめてあります。
挿花とは
まずは読み方が二種類あります。
「そうか」と「さしばな」です。
辞書で調べると
「そうか」は二つの意味があり
①髪に花などを挿すこと。
②花器に花などいけること。いけばな。
とあります。
今回は生け花との違いなので、②の意味が適用されます。
続いて「さしばな」
〇花をさすこと。花をいけること。いけばな。
とあります。
古語的表現である理由
「そうか」と「さしばな」の両方を調べると説明文として出てくる言葉が、「いけばな」であることから生け花の事を指していることは分かりますが、古語的表現である理由は
①辞典に載っている「そうか」と「さしばな」の例文が1725年や1830年などの出典が主であり比較的古いものが多いこと。
②華道業界では有名な生け花の絵図である挿花百規(そうかひゃっき)も刊行された年が1820年とおおよそ200年以上前によく使われていた言葉だと思われること。
③現在ではあまり聞かないこと。
③に関しては私の主観になってしまいますが、一般の方に比べると比較的、生け花の業界に詳しい華道家の私ですが、なにか特別なこだわりを持っているような華道家や花人の方が現代で「挿花」という表記の仕方をすることはありますが、それ以外の方で一般に「挿花」と表記する方は、ほぼ見たことがありません。
現代で使われている例としては生け花の流派である小原流の月刊誌の名前が小原流挿花(おはらりゅうそうか)といったぐらいで、他に挿花が表記されている物は思い当たりませんし検索しても出てきませんでした。
番外編
先程、挿花の意味を調べた辞典とは違う、別の辞典では「挿花(そうか)」の説明文は次のようになっています。
草花を器に挿す行為と挿されたものの総称。
献供花(お供えの花の事)や装飾花、花を賞美するための挿花や生け花も含め、さらにはフラワーデザインも加えて広範囲に用いられる。
生け花は挿花の一部である。
なお、古くは「挿花」と書いて「いけばな」と読ませていた例もあるが現在は区別されている。
この辞典の場合の挿花の説明はフラワーデザインも含まれているため「現代で、もしも挿花という表現を使うなら、こういう意味です」と説明してくれているのではないかと思われます。
ちなみにフラワーデザイン関係の方で自分が生けた作品を「挿花」と表記している人を私は見たことがありません。
まとめ
挿花と一言で表しても、読み方が「そうか」と「さしばな」番外編も含めると「いけばな」と同じような意味で三つの読み方が有り、200年ほど前に使われていた言葉なのに現代で使うとしたらフラワーデザインまで含めるという曖昧さが挿花と生け花って何が違うの?って思わせる原因だったのではないかと思います。
今回の要点は
【挿花は生け花の古語的表現であるが現代でも稀に使われる。】
この部分以外の番外編で紹介したフラワーデザインまで広く含めて挿花という説明は一般的に使われていない雑学的なマニアックな内容なので、覚えて置かなくても良いかと筆者は思います。
ご高覧いただき、ありがとうございました。
【生け花と華道の違い】も記事にまとめてありますので、よろしければ、ご覧になっていただければと思います。